【ミジ貝?】イガイそっくり! カワヒバリガイとイガイダマシはクロダイ(チヌ)の好物

【ミジ貝?】イガイそっくり! カワヒバリガイとイガイダマシはクロダイ(チヌ)の好物



クロダイ釣り人の間では「ミジ」と呼ばれている、ムラサキイガイにそっくりなカワヒバリガイ。 ムラサキイガイとは別種だったんですね〜。しかも、よく調べると、正しくはカワヒバリガイでも無いという間違いに気づきました。 さらに、「ミジ」と酷似したイガイダマシという種があり、これもまたクロダイの大好物のようです。 調べていくほどに、クロダイと切っても気れない縁のある貝であることが分かりました。

クロダイ落とし込み釣りのエサ「ミジ」って何? ムラサキイガイとは違うの?

コウロエンカワヒバリガイ

出典: 爆釣丸

「ミジ」と呼ばれるものは、カワヒバリガイといいます。 ムラサキイガイとそっくりで、僕も「カワヒバリガイ」を「イガイ」と呼んでいましたし、その一部は本物のイガイだったようです。 釣り人、特にクロダイの好物として知られ、落とし込み釣りにおいて一般的に使用される「ミジ」ですが、釣り人の間でも別種ではなく、単にイガイの小さいものと認識されている方が多いようです。 ムラサキイガイは6〜10cm程度であるのに対して、カワヒバリガイは3cm程度です。 ムラサキイガイは、料理でよく使われる「ムール貝」、カワヒバリガイよりだいぶ大きいのが特徴です。 また、特に緑色がかったイガイがクロダイの反応が良いと、釣り人の間で噂の緑色のイガイ。 「ミドリ」と呼ばれ、晩夏からイガイが緑色に変色する?なんて思われていたりするのですが、緑がかったイガイは「ミドリイガイ」といい、これも「ムラサキイガイ 」、「カワヒバリガイ」とは別種になります。 また、よく調べると、海水域で採取できる「ミジ」は、「カワヒバリガイ」ではなく、「コウロエンカワヒバリガイ」であることが分かりました。 漢字で書くと、「香櫨園川雲雀貝」だそうです。 「カワヒバリガイ」と「コウロエンカワヒバリガイ」もまた別種。 形態的に酷似していますが、遺伝的に大きく異なるそうです。 カワヒバリガイは、淡水域に生息します。 塩分耐性が低いため、汽水域、海水域には生息できません。 1980年代後半に中国から輸入シジミに混入されていたものが日本に定着した特定外来生物で、 主に、木曽三川、琵琶湖、淀川、愛知、静岡、群馬、茨城などに定着しています。 よって、汽水域・海水域で採取できる「ミジ」は「コウロエンカワヒバリガイ」なんですね。



コウロエンカワヒバリガイの生態

長さ 3cm程度
原産 オーストラリア、ニュージーランド

コウロエンカワヒバリガイも、ムラサキイガイ、ミドリイガイ、カワヒバリイガイ同様に問題になっている外来生物です。 ただ、カワヒバリガイが特定外来生物に指定されているのに対して、コウロエンカワヒバリガイは、特定外来生物よりもやや危険度の低い「生態系被害防止外来種」に指定されています。 1970年代に、静岡県、大阪湾、瀬戸内海で確認されたのがはじめで、現在では本州、四国、九州に広く分布しています。 原産地からバラスト水によって、イガイ類の浮遊幼生が拡散したものと推測されています。

バラスト水とは...
船舶を安定させるために「重し」として船底に積む水のことを、バラスト水といいます。 現地の港の水が積みこまれて、貨物が積載する港で排出されるために、外来生物を運んでしまうと問題になっています。
足糸という繊維状物質を分泌して壁面に固着します。 僕がよく行く釣り場にはそこら中に、びっしり。

他の釣り人もミジで釣れていますね! 満潮では姿は確認できないのですが、少し潮位が下がるとその姿を至るところで確認できます。 内湾や河口に生息し、水質の悪いところ幅広い塩分濃度に耐性があることからも、クロダイと切っても切れない縁を感じますね。 また、コウロエンカワヒバリガイを搾取するとたくさんの生物が一緒に採れます。 フジツボが吸着していたり、小さなカニがいたり、貝の中からゴカイのような、ウニョウニョした生物がたくさん出てきます。 正直、かなり気持ち悪いです(笑) 貝類だけでなく、青いそめ、マムシ、イワガニ、ザリガニ、ボケ、ユムシ、ホタルイカ、イカ短冊、オキアミ、練りエサなど多様な餌で釣れるチヌですから、コウロエンカワヒバリガイが付着する壁面は、餌の宝庫なんですね!

イガイダマシの生態

イガイダマシ
長さ 2.5cm程度
原産 メキシコ湾、カリブ海

さらにもう一つ、小型のイガイに酷似したクロダイの好物として「イガイダマシ」があります。 1974年に静岡県清水港で発見されて以来、関東以南の本州、四国に広く定着しています。 こちらも外来生物であり、バラスト水により導入されたと考えられています。 褐色の殻ですが、半分くらいの面積が白色に剥がれたような模様になっているところが特徴です。 一見、先述のコウロエンカワヒバリガイの殻が禿げただけのようにも見えますね。 クロダイが好んで捕食する貝だと、生物図鑑にも記載されています。 コウロエンカワヒバリガイやイガイダマシと誤認しやすいイガイも、黒紫色のムラサキイガイよりも、青緑色のミドリイガイの方が釣果が上がる印象があることから、クロダイは、色のついた目立つものに反応しているのでは、と個人的に考えています。 もしそうであれば、ムラサキイガイやコウロエンカワヒバリガイを使うときでも、小さなフジツボなどが付着したミックスを餌として使用すると釣果が期待できるかもしれません。 コウロエンカワヒバリガイ同様に、水質の悪いところ幅広い塩分濃度に耐性があるため、コウロエンカワヒバリガイの生息域と重なります。 本来であれば7度以下の水温では生息できない種であるとされていますが、港湾では工場排水などの影響で水温が高いところが多いため繁殖したのでしょうか。 工場排水が大好きなクロダイと同じですね。

参考その他のイガイ、ムラサキイガイ、ミドリイガイ、カラス貝などの種については次の記事をどうぞ↓
【混同注意】イガイ、ムール貝、カラスガイ、パーナ貝の違い・採取時期

【混同注意】イガイ、ムール貝、カラス貝、パーナ貝の違い・採取時期

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参考採取方法、針の刺し方についてはこちらをどうぞ↓

イガイ・カラス貝の取り方・採取方法、針の刺し方・付け方

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