日本では、カムルチーとタイワンドジョウとコウタイを総称して、雷魚と呼びます。 この記事では、雷魚の3つの種類についてご紹介します。 それぞれ海外から移入された魚、すなわち外来種ですが、ブラックバスのように特定外来生物には指定されていません。
カムルチー
出典: wikipedia
個体数、分布範囲からして、一般的に「雷魚」と認識されているもののほとんどが、このカムルチーでしょう。 最大で90cmとされていますが、実際には、メーターオーバーの釣果もある巨大魚。 蛇のような頭をしていて、斑紋が2列に並びます。 流れの弱い湖沼や河川に生息。 水草を好み、ヒシやハスが水面を埋めつくすようなフィールドに生息いることが多いです。 飛び越えられるような幅しかない用水路で見かけることもあります。 水面まで上がってきて口を出して空気中の酸素を吸って呼吸することもできるために、酸素の薄い淀んだ環境でも生息することができるんです。 そのため一定のポイントで過ごした後、餌が少なくったなどの事情があれば、陸を渡って生息域を広げることもできます。 1023年〜1924年に、朝鮮半島から移入されて日本にきたとされていますが、現在では、北海道、本州、四国、九州のほぼ全域で確認されています。 小魚やカエル、カメなどの水生動物を捕食します。 なんと、鳥の雛やネズミ、ヘビなども捕食してしまうとも言われています。 とても獰猛な性格で、フロッグという蛙に模したルアーに果敢にアタックしてくることから釣り人に人気の魚です。
タイワンドジョウ(ライヒー)
中国南部、ベトナム、フィリピンなどが原産の魚。 1906年に大阪へ輸入されました。 ライヒーとも呼ぼれています。 タイワンドジョウの生息域は、和歌山県、兵庫県、石垣島とされているため、お目にかかる機会は、カムルチーに比べて少ないです。 見た目も特性も、カムルチーと大変よく似ていますが、タイワンドジョウの方が小型で70cmを越えるサイズは稀少です。 また、障害物の影にひっそりと隠れて、ゆったりと泳ぐカムルチーに比べて、タイワンドジョウは素早く泳ぎます。
バスでもトラウトでも、じっくりルアー見せると見切られてしまうシチュエーションを経験したことがあると思います。カムルチーは、じっくり見せて、十分に食う間を与えてから食わすイメージですが、タイワンドジョウは泳力に長けているので、カムルチーと比較すると、小気味よくルアーを動かし続けて、見切られないように誘うと効果的です。
カムルチーとタイワンドジョウはどう見分ける?
カムルチーとタイワンドジョウは、よく似ていて見分けが困難です。 タイワンドジョウの方が比較的小型なため、85cmを超える大型は、カムルチーでしょう。 では、85cm未満の雷魚は、どう見分けたら良いのでしょうか。 ざっくりとした判別では、タイワンドジョウの方が、顔が丸っこく可愛らしいです。 なんていうと、カムルチーもよく見ると可愛いですからね。 一番な簡単な見分け方は、斑紋。 タイワンドジョウの斑紋は、3列に並びます。 斑紋もカムルチーよりも鮮明なものが多く、美しいです。 ただし、不明瞭な個体もいるため、確実とは言えません。 曖昧な斑紋の個体は、背鰭を観察します。 かなり長い鰭なので、じっくり観察しなければ、難しいのですが、 カムルチーの背鰭は、47~53軟条あるのに対して、タイワンドジョウの背鰭は、40~44軟条です。
コウタイ
出典: ペットディクショナリー
80cmにもなるカムルチーやタイワンドジョウに比べ、コウタイは30センチ程度と小さめの魚。 すごく可愛らしいです。 顔つきや、斑点は、ヤマトイワナのようですね。 真横から見ると、サイズ感的にもベラのようにも見えます。 そう思うと日本の固有種のように見えますが、こちらも外来種。 1960年に台湾から輸入されたものが大阪、沖縄、石垣島に広がったと考えられているそうです。 カムルチーとタイワンドジョウが、ドーナッツ状の巣を作り、卵及び稚魚を守るのに対して、コウタイは水草の上に卵を生んだあと、営巣する習性はありません。 また、カムルチーとタイワンドジョウが流れの淀んだ場所を好むのに対して、台湾、中国南部、ベトナム北部の原産地では山間部の流れに生息していることが多いそう。 この魚を、カムルチーとタイワンドジョウと混同して、「雷魚」と言ってしまうのはあまりに雑ではないでしょうか。
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